2018年8月9日

長崎・広島原爆投下73周年によせて


昨年の長崎・広島原爆72周年記念のメッセージでは、2017年9月20日に開催された史上初の核兵器禁止条約署名式を歓迎しました。今日までに59か国が条約に署名し、内11ヶ国がこれを批准し、条約加盟国となりました。条約加盟国が必要条件である50ヶ国となれば、条約は発効し、加盟国は、核兵器を開発、実験、製造、または保有することができなくなり、また、核兵器の使用による脅迫行為、あるいは、核兵器を自国領土内に配備させることができなくなります。核兵器が国際法に基づいて正式に違法になるのです。現在、核兵器を保有している国々は、残念ながら条約の署名国または加盟国ではありません。核抑止論に基づいた「核の傘」で守られている国々(日本や韓国も含みます。)も同様で、その理論により、それらの国々の同盟国が保有している核兵器が、核攻撃を含む潜在的な武力攻撃を抑止する役割を果たしているのです。

2018年6月、ドナルド・トランプ米大統領と金正恩 (キム・ジョンウン) 総書記との首脳会談は、北朝鮮による、または北朝鮮に対する核戦争の可能性が数十年にわたって懸念されていた朝鮮半島において、核軍縮の見通しを付けたことから、世界平和のための画期的な出来事と評価されました。また、それは、核兵器を保有している国の人々が、絶え間なく餓死し、十分な医療も施されず、人権も無視されている場合には、極めて高価な核兵器を入手し維持することに何ら正当な理由がないことをも証明しています。

SATA Foundationが目指すものは、核兵器の全廃です。現在、世界各地に備蓄された約1.5万の核弾頭が取り壊されるか、すぐに解体されることを期待して、目標達成に向けたあらゆる努力を惜しみません。世界で唯一の原爆の犠牲者である広島と長崎の民間人の計り知れない苦しみを心に留めて下さい。そして、SATA Foundationのロゴをご覧下さい。これは、長崎の浦上天主堂に所蔵されていたマリア像の頭部の写真で、1945年8月、同天主堂から500メートル離れた場所で原子爆弾が爆発した時に、完全に破壊されたものです。この長崎のマリア像は、人道主義のまさにシンボルとなるものです。核兵器のない世の中で平和に暮らして行くことを目指すものですが、一方で、それは、人類繁栄のための希少な資源の配分や科学技術の適正使用を伴ったものでもあります。

ユネスコは、今年、九州の北西部に位置する長崎地方にある隠れキリシタン遺跡を世界文化遺産に掲載しました。それは、12の区域と10の村落及び原城跡と教会からなり、16世紀から19世紀にかけて建立された、キリスト教宣教師や日本の入植者の最も初期の活動を反映したものです。これらは、UNESCOによって、17世紀から19世紀までの禁教期間中に密かに信仰を伝えていた長崎地域の隠れキリシタンによって培われた文化的伝統を独自に証明するものとして認識されています。長崎のマドンナ像は、前述の隠れキリシタン遺跡と同じ長崎地域で発見されたものです。「遺跡」とは呼べないかも知れませんが、2万1,500人を超える人々が、このマリア像も、1996年からユネスコ世界遺産に登録された広島平和記念館(原爆ドーム)や、ユネスコが認定する他の世界的な文化遺産と同種の国際的な認定に値するという主張に賛同しています。

SATA Foundationは、引き続き人道と平和のミッションを追求します。広島・長崎の原爆投下73周年を記念した世界平和支援行事の一つとして、フランスのシャイイ‐シュル‐アルマンソンでの平和祈念自転車競走(www.courirpourlapaix.com)は、2018年7月28日土曜日に開催されました。過去13年間と同様、約400人のサイクリストが参加しました。この会の収益は、Sata Foundationのミッションを支援するために宛てられます。

SATA Foundationへの寛大なご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

SATA Foundation
理事長  佐多保彦

 

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