SATA Foundation 2004-2005年度年次報告


(i) タイ企業人育成フォーラム(TIDF)との共同プロジェクト
タイ企業人育成フォーラム(TIDF)との共同プロジェクト 地雷原を抱える発展途上国の人々を対象に、地雷の犠牲となった人々の義肢製作訓練を行うTIDFワークショップに対し、100%の出資を行いました 。※1
 ワークショップは2004年2月15日から28日までタイで開催され、参加者は16名、出身国は6カ国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイの地雷敷設地域)に及びました。内訳はCOPE※2を初めとするNGO団体、ネパール障害者協会、緊急難民カトリック事務局(COERR)、米国ベトナム帰還兵協会などです。参加者の宗教的バックグラウンドは様々で、仏教徒、キリスト教徒、ヒンドゥー教徒がいましたが、残念ながら西アフリカのシエラレオネ政府派遣の2名はバンコクに来ることができず、イスラム教徒、及びアフリカからの参加者はありませんでした。
 さらに詳細については医療のページ(義肢)をご参照ください。


(ii) ベツレヘム大学教員基金に対し、     *     の寄付
 ベツレヘム大学(http://www.bethlehem.edu) はSATA Foundationと共通する理念を掲げています。
 同大学はこの聖地ベツレヘムで、キリスト教徒であれイスラム教徒であれ、男女を問わず、パレスチナの若者に高等教育を施す機関です。学生たちはイスラエルに占領されているパレスチナ西岸地区一帯から集まっています。そのため、同大学では、戦火に焼かれた西岸地区に住む多くの若者たちの"教育を受ける権利"を推進しています。
 同大学は「言論の自由」を保護しています。構内では学生たちは不満や希望、夢を語り、イスラエルによる占領や人権侵害に対し、非暴力の抗議運動を行うことができます。
 大学は教育、経済、「医療」、社会福祉、この国の資源や通信ネットワークなどを担っていく学生たちを育てることを目標としています。また、「平和のための観光産業」の学位コースを設けているのが特徴的です。
 ベツレヘム大学教員基金へのSATA Foundationからの     *     の寄付金は、大学存続への一助となり、ひいては紛争地域における人権と平和の価値の呼びかけ、卒業生による地元住民への安価な医療の提供の継続を援助するものです。この寄付はSATA Foundationの世界平和と医療に関する理念に合致しています。
 佐多氏は「ベツレヘム大学友の会」を日本で組織し、大学の広報にも尽力しています。
(参照:http://www.bethlehem.edu/archives/2004/2004_050.shtml)


(iii)Development of International Law in Asia (DILA:アジアにおける国際法整備)への寄付     *     
 DILAはアジアに関する国際法的事項についてアジアの国際法専門家が意見を交す、アジア全体をカバーする唯一のフォーラムです。DILAへは誰でも無料で参加することができます。Asian Yearbook of International Law (「アジア国際法年鑑」、Martinus Nijhoff Publishers; Leiden/Boston)により、DILAは世界平和と国際的法秩序を支える国際法に関し、アジアの視点を世界に発信しています。DILAはアジアの発展途上国の読者にも入手できるよう、アジア国際法年鑑の購入代金の一部を補助しています。
 このように、DILAはSATA Foundationの設立理念にも謳われている「あらゆる文化、宗教、信条を持つ人々の平和の価値と普遍的人権の尊重に対する理解」の促進に従事しています。
 DILAの主要な活動資金はSATA Foundationから出資されています。アジアの若い国際法研究者で優れた論文を発表した者に、毎年、佐多賞(2005年度より2000米ドル)が贈られます。これまでの受賞者は、香港シティ大学の若手法学部教授※3、ハーグの旧ユーゴスラビア国際犯罪法廷でインターンだったタジキスタンの法学部大学院生※4、インド、コルカタの法学部学生※5です。SATA Foundationはその他、アジア国際法年鑑※6の出版、アジア言語で書かれた価値ある論文の英訳に対しても出資を行っています。


(iv)シェチェン診療所への寄付
 Foundationは過去何年もにわたり、ネパールの首都、カトマンズ近郊の人口密集地帯において貧困に苦しむ人々のために開設されたシェチェン診療所への財政援助を行っています。診療所は患者の宗教、民族、政治的信条に関わらず、難民や山岳民族を含む一大コミュニティに対し、質の高い医療を提供しています。医療サービスはコストスライド制で、非常に貧しい患者には全ての医療行為、医薬品が無料で提供されます。診療所には月に3500人を超す患者が受診します。診療所には、内科、薬局、分析ラボ、結核(D.O.T.)クリニック、整形外科、産科、HIV、エイズ患者とその家族のためのカウンセリング、ホメオパシー、チベット伝統医療、チベット伝統薬工場、鍼療法、歯科、歯科ラボがあります。
 さらに詳細については医療のページ(シェチェン診療所)をご参照ください。


(v)スマトラ沖地震津波犠牲者の援助
 2004年12月26日、スマトラ沖地震による津波が東南アジア、南アジア、アフリカの11カ国に甚大な被害をもたらし、約30万人が犠牲になりました。SATA Foundationの代表である佐多保彦氏は、友人や知人に呼びかけ、被害にあった人々への寄金や物品の援助を行いました。SATA Foundationの理事が被災国の一つであるタイにいたため、津波の被災者が最も必要としている物に関する正しい情報を伝えることができました。その結果、数社の企業や個人より、現金や物品の寄付が寄せられました。


(vi)資金調達
 SATA Foundationはロシア・ペテルブルクのカトリック大聖堂で2004年6月29日上演のセルゲイ・スロヴァチェフスキー氏(チェロ・ソリスト)のチャリティ・コンサート(J.S.バッハ チェロ独奏曲No.1、No.4、No.6)のDVDレコーディングの著作権契約を2004年11月15日より3年間、締結しました。
 この契約により、このDVDの販売売上金からSATA Foundationの活動資金の一部が賄われることになっています。


(vii)「平和祈念」自転車レースの開催
 広島(1945年8月6日)・長崎(1945年8月9日)の原爆60周年を記念して「平和祈念」自転車レースと関連イベントを、2005年8月6日にフランスで開催し、改めてFoundationの掲げる人道主義を訴えました。
 さらに詳細については世界平和のページ(平和レース)をご参照ください。



 以上はSATA Foundationの活動の一部をご紹介したものです。Foundationは発展途上国の人々に医療を提供し、世界平和を促進する活動をさらに広げる努力を続けていきます。
 Foundationには援助の要請が頻繁に寄せられます。援助を実施するかどうか、またその援助の規模は要請されたケースに応じて理事会が決定します。SATA Foundationは援助を必要とする要請者に対し、援助を行う義務と財源を有する慈善団体に紹介することも行っています。
SATA Foundationの方針は貧困層の窮状に世界の注目を集め、他の組織と協力して効率的に援助の道筋を作ることにより、人道的活動を促進することにあります。Foundationは人道的活動への参加については制限を設けず、同時に各プログラムに対する予算の配分を柔軟に行っています。Foundationは特定の政治主義、文化、宗教を支持することを意図していません。設立目標を達成するため、安価で優れた医療システムの開発・提供や、基本的人権の擁護、戦場の子供たちへの援助を目指す様々な組織やプロジェクトに対し、支援活動を行います。

※1 TIDFが製作するオーダーメードの義脚は一本で約135米ドル、義足は2.50米ドルです。一方、義肢をこれらの国に輸送するには1回に約100−500米ドルがかかります。そこで、地元で訓練を行い、義肢の製作と装着を行えば、輸送費に比べて低コストで済みます。
※2 POWER(英国のNGO団体)、ラオス健康省、ワールドビジョン(NGO団体)との連携
※3 ツァオ・ユン氏 論文「WTOの枠組み内における航空輸送サービスの自由化について:21世紀の問題への挑戦」 アジア国際法年鑑 第8巻限界と境界」アジア国際法年鑑8号所収予定
※4 タフミナ・カリモヴァ 「1945年8月12日戦争犠牲者保護に関するジュネーブ条約一般条項3の違反についての普遍的許容権」 アジア国際法年鑑 第10巻所収
※5 アブラハム・モヒット「国際拉致の慣習法:限界と境界」アジア国際法年鑑11号所収予定
※6 酒井哲哉「戦後外交論における理想主義と現実主義」日本国際問題所 雑誌 『国際問題』1996年3月号 (初出、日本語、英訳はアジア国際法年鑑第9巻所収)

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