SATA Foundation 2006-2007年度年次報告


I. 寄付


(1) Banyan Home Foundation

Banyan Home Foundationは日本人篤志家、名取美和さんが設立しました。本財団はバーンロムサイ孤児院を運営しています(所在地:23/1 Moo 4 Tambon Namprae, Ampur Hangdong, Chiangmai Province, Thailand 50230、E-mail:info@banromsai.jp、携帯番号 (+66) (81) 8835882、FAX番号 (+66) (53) 427434、 ホームページ (日本語のみ):http://www.banromsai.jp).
 SATA Foundationが名取美和さんのチャリティ活動を知ることになったのは日本人フォトジャーナリスト、長井健司氏のテレビドキュメンタリーがきっかけでした。痛ましいことに長井健司氏は2007年、ミャンマーの反政府抗議運動中、凶弾に倒れ、今回のSATA FoundationのBanyan Home Foundationに対する寄付は、同氏に対する敬意と追悼の意味がこめられています。
 現在、男子15名、女子16名の合計31名の子供たちがホームで暮らしていますが、そのうち29名がHIV/AIDSに感染しています。9-12歳の子供が最も多く、最年少は4歳、最年長は17歳です。最年長の17歳の少女は両親をHIV/AIDSで失いましたが、本人は運よく感染をまぬがれました。この少女は当時の恋人に身体的虐待を受けており、ホームが保護しました。もう一人のHIV/AIDSに感染していない子供は両親が貧しさのために食事にもことかいた15歳の少年です。
 子供たちは、自分たちの意思でホームにとどまり、本人が望むときにいつでもホームを離れることができます。ホームでは、生活する子供たちの数を32人に制限し、家庭的な雰囲気の中で、子供たちに十分なケアが行き届くようにしています。

SATA Foundationの寄付金は、HIV/AIDSに感染した子供たちや村の大人たちが読書やDVD鑑賞ができるよう、ホームの図書室用のタイ語の書籍とDVDの購入に充てられます(HIV/AIDS感染者は普通の図書館では歓迎されないため、一般用、あるいは学生用の図書館を使用することができません)。
 ホームの図書室は、現在建設中のホスピスの隣の建物の2階にあります。2階建の建物は、クレディ・スイスの寄付で建設され、2007年6月に公式に開設されました。図書室は平日の午後4時30分から午後7時30分まで、週末は午前8時30分から午後4時30分まで開室しています。1階は教室と5台のコンピュータを備え付けたコンピュータ室になっており、タイ人の教師が子供たちにコンピュータの使い方や、インターネットへのアクセス方法を指導します。栄養やHIV/AIDSを知るための授業が子供たちを対象に頻繁に行われています。
 図書室はホームと近隣の住民をつなぐ重要な架け橋です。図書室の利用登録者の数は現在200名で、その多くが近隣に住む村人たちです。彼らは毎朝、新聞を読み、本を借りるためにここを訪れるうちに、HIV/AIDSに感染した子供たちも人間であり、抱きしめてもこの死病が他人に感染することはないと理解するようになってきました。アル・ゴアの著作『不都合な真実』も、英語の辞書、コンピュータのマニュアル、漫画本に混じって書棚に並んでいます。

(2) シェチェン診療所(ネパール カトマンズ・ボダナート)

SATA Foundationは過去何年にもわたり、ネパールの首都、カトマンズ近郊の人口密集地帯にあるシェチェン診療所への資金援助を行っています。診療所は患者の宗教、民族、政治的背景にかかわらず、難民や山岳民族を含む一大コミュニティに対し、質の高い医療を提供しています。医療サービスはコストスライド制で、非常に貧しい患者には、すべての医療行為および医薬品が無料で提供されます。診療所に受診する患者数は月に3,500人にのぼります。診療所には、内科、薬局、分析ラボ、結核(D.O.T)クリニック、整形外科、産科、HIV感染者・AIDS患者とその家族のためのカウンセリング、ホメオパシー、チベット伝統医療、チベット伝統薬調合所、鍼療法、歯科、歯科ラボがあります。

(3) アジアにおける国際法整備(DILA)財団

SATA Foundationは引き続きアジアにおける国際法整備を推進するため、アジアの若い国際法研究者で特にすぐれた国際法に関する論文を発表した者に、2005年から毎年、佐多賞(2000米ドル)を授与しています。受賞論文はアジアにおける国際法整備(DILA)財団の援助により、Asian Yearbook of International Law (「アジア国際法年鑑」:Martinus Nijihoff Publishers刊)に掲載されます。Asian Yearbookは世界平和と国際的法秩序を支える国際法に関するアジアの視点を世界に発信しています。
 佐多賞はこのように、SATA Foundationの設立理念に謳われている「あらゆる文化、宗教、心情をもつ人々の平和の価値と普遍的人権の尊重に対する理解」を促進する一助となっています。
 2006年度佐多賞の受賞者は、Naazima Kamardeen 氏(スリランカ・コロンボ大学法学部講師)とJaemin Lee氏(韓国・ソウルハンヤン大学法学部助教授)で、それぞれの論文タイトルは「地域社会の知的財産に対する権利侵害:アジアの視点から」と「国連安全委員会と国際司法裁判所:協力、共存、共同」です。この賞の規定について15カ国21件の問い合わせがあり、そのうち13名が論文の提出を行いました。
 2007年度の佐多賞の受賞論文は、Zhu Lijiang博士(中国法政大学国際法学部講師)「アジア数カ国の非国際的武力紛争における、戦争犯罪という概念に対する反駁と、その法的意味」です(中国法政大学 Beijing, P.R. China,100088)。

(4)イスラエル・ヘルツリア劇場アンサンブル

SATA Foundationは2007年度に限って、ヘルツリア劇場アンサンブルに対し、イスラエル人作家・哲学者Shlomo Bouzaglo博士による"Black Rain"という戯曲を英語に翻訳する費用を寄付しました。 2007年5月、イスラエルのエルサレム・フェスティバルで初演されたこのヘブライ語の新作舞台劇は、広島の原爆投下後の災禍を取り上げ、史料、詩の断片などに基づき、広島と長崎の悲劇を描くとともに、その後、長い年月に及ぶ問題や影響を深く掘り下げようとする作品です。非常に強烈で興味深い優れた演劇作品であり、公演の質も高く、明確な反核のメッセージが伝わってきます。
2007年12月初め、"Black Rain"は"International Exposure"イベントで上演され、世界中の様々な演劇関係者やフェスティバル参加者が出席しました。現在、この劇の世界ツアーが計画されています。今回のSATA Foundationの貢献は高く評価されました。
 この舞台劇の平和を呼びかけるメッセージは、「SATA Foundationは人道主義に基づき、……あらゆる文化、宗教、信条の垣根を越え人々の平和の価値に対する理解を深めることにより……、より素晴らしくより人間的な世界の実現を目標に設立された非営利団体です」というSATA Foundation の設立理念とまさに一致します。

(5)サン・ブリユー病院入院患者に宿泊施設提供を行う会

SATA Foundationは2006年と2007年の8月、フランス・ブルゴーニュ地方シャイイにおいて平和祈念自転車競走を開催しました。ラリーにはベルナール・イノー氏をはじめ500名のサイクリストが参加し、100名以上の観衆やサポーターが集まりました。このイベントでSATA Foundationに寄せられた収益の大部分は、サン・ブリユー病院入院患者に宿泊施設提供を行う会に寄付されました。(http://maisondesfamilles.chez-alice.fr/)
 この会は家族が患者に精神面のサポートを与え、病気からの迅速な回復を助けられるよう、入院患者の家族に宿泊施設を提供しています。その意味で、この会の目的は、SATA Foundationの設立理念にある「世界の人々に対する安価ですぐれた医療の開発・提供」に該当しています。

(6)国際パラリンピック世界卓球選手権

2006年、SATA Foundationは2006年9月24日から10月1日までスイス・モントルーで開催された国際パラリンピック世界卓球選手権に出場する卓球選手の宿泊費の補助として6,700ユーロを寄付しました。

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