SATA Foundation 2011年度 年次報告

I.寄付

2011年度、SATA Foundationは以下の寄付を実施しました。

(1)シェチェン診療所(ネパール カトマンズ・ボダナート)(http://www.karuna-shechen.org

 SATA Foundationは長年にわたり、ネパールの首都カトマンズ近郊の人口密集地帯に2000年に設立されたシェチェン診療所への資金援助を行っています。診療所は患者の宗教、民族、政治的背景にかかわらず、難民や山岳民族を含む一大コミュニティに対し、質の高い医療を提供しています。医療サービスはコストスライド制で、経済状態が特に厳しい患者にはすべての医療行為および医薬品が無料で提供されます。診療所には月に3,500人を超す患者が受診します。診療所には、内科、薬局、分析ラボ、結核(D.O.T.)クリニック、整形外科、産科、HIV感染者・AIDS患者とその家族のためのカウンセリング、ホメオパシー、チベット伝統医療、チベット伝統薬調合所、鍼療法、歯科、歯科ラボの各科・設備があります。
 2011年のSATA Foundationによるクリニックへの寄付金の主な使途は以下の通りです。
(a)ネパール国イラムとジャパにおけるバンブースクール2校とバンブーカレッジ1校の建設。これにより3000名以上の生徒が幼稚園から高校レベルまでの教育を受けることが可能になります。
(b)山岳地帯のフムラの僻村の子供たちの寄宿先として、ホステルの別館の建設。
(c)ネパール国内における雨水の貯水プロジェクト2件の開始。


(2)Banyan Home Foundation (http://www.banromsai.jp

 HIV/AIDSに感染・発症した子どもたちのための生活施設バーンロムサイを運営するBanyan Home Foundation(BHF)は日本人の名取美和さんによって設立されました。 SATA FoundationはBHFに対し、2007年から寄付を行っています。
 2011年度のSATA Foundationの寄付により、バーンロムサイのHIV/AIDSに感染した子供たちは、施設で企画された下記のイベントに参加し、地元の人たちとの交流を楽しみました。
(a)年間を通じた、国の祝日に合わせた作文と絵のコンテスト。毎月平均40名が参加しました。
(b)事故や災害防止訓練及び応急処置訓練。65名が参加しました。
(c)バーンロムサイの子供たち9名と地元の若者21名によるサッカーチームで、タイの元ナショナルチーム選手の指導の下で合同トレーニングを行いました。また、練習試合や他のサッカーチームとの試合を行いました。   
 これまでのSATA Foundationの寄付により、バーンロムサイの子供たちは暮らしている地域社会に順調に受け入れられつつあります。


(3)日本白血病研究基金 (http://www.flrf.gr.jp(日本語のみ))

 2011年9月、SATA Foundationは認定特定公益信託 日本白血病研究基金に対し寄付を行いました。


(4)アジアにおける国際法整備(DILA)財団

 SATA Foundationは引き続きアジアにおける国際法整備を推進するため、アジアの若い国際法研究者による特にすぐれた国際法に関する論文に対し、2005年から毎年、佐多賞(2000米ドル)を授与しています。受賞論文はアジアにおける国際法整備(DILA)財団の後援により、Asian Yearbook of International Law (「アジア国際法年鑑」:Martinus Nijihoff Publishersライデン/ボストン刊)に掲載されます。Asian Yearbookは世界平和と国際的法秩序を支える国際法に関するアジアの視点を世界に発信するものです。このように、佐多賞はSATA Foundationの設立理念に謳われている「あらゆる文化、宗教、信条をもつ人々の間における平和の価値と普遍的人権の尊重に対する理解」を促進する一助となっています。
 2011年度は佐多賞受賞に該当する研究論文がなかったことがDILAよりSATA Foundationに対して通知されました。
 前回、佐多賞が授与されたのは2009年度で、イランのアミン・ガンバリー・アミルハンデフ氏の論文「非国家主体に対する自衛行為に関する弁明の検討」に贈られました。


II. 東日本大震災被災者に対するSATA Foundationの活動

 2011年3月11日、日本の東北地方を襲ったマグニチュード8.9の地震と、それに続いた津波によって14000人以上が犠牲となりました。 現在も、何百万人もの人々が福島第一原子力発電所から漏れる放射能に脅かされながら暮らしています。 これは近代に入って、日本が直面した最悪の自然災害です。SATA Foundationは東北地方の被災地に支援を行い、被災者が新しい困難に立ち向かう援助を行ってきました。
  SATA Foundation理事長である佐多保彦は、Foundationのボランティアとともに自ら定期的に被災地を訪れ、被災者が緊急に必要としている物資援助を行うとともに、自立、自助の前向きな精神で、地域で再び働けるように、就職支援や相談に応じています。
  SATA Foundation平和祈念自転車競走(IIIを参照)の募金及びその他の寄付金を元にこの活動を行いました。

III. 長崎のマリア像と世界平和

 2005年8月の長崎原爆60周年に長崎のマリア像が浦上天主堂に返還され、SATA Foundationのマリア像に関わる目的はほぼ達成されました。SATA Foundation は引き続き、長崎のマリア像を象徴とする世界平和キャンペーンを実施していきます。
 2005年8月6日、SATA Foundationは広島(1945年8月6日)・長崎(同8月9日)の原爆投下60周年を記念し、Foundationの人道的使命を推進することを目的として、フランスにおいて「平和祈念自転車競走」及び関連事業を主催しました。第1回の大きな成功を受けて、平和祈念自転車競走はその後、毎年開催されています。
 SATA Foundationは2011年7月31日、フランス・ブルゴーニュ地方シャイイにおいて第7回平和祈念自転車競走を開催しました。530名のサイクリストが参加し、イベントで集まった募金は東日本大震災の被災者支援に充当されました(II参照)。
 このフランスのシャイイにおけるイベントをきっかけとして、日本をはじめ、世界各国で平和のための自転車競走が行われています。日本においては2009年、第3回明治神宮外苑学生自転車クリテリウム大会が行われました。
 これまでどおり、SATA Foundationはこれが伝統として受け継がれ、ますます盛んになることを願い、同学生自転車クリテリウム大会に対して再度寄付を行いました。 

Kriangsak Kittichaisaree教授
専務理事
SATA Foundation
2012年4月13日

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