2025年8月3日
広島・長崎原爆投下80周年によせて
1945年8月6日に広島に、そして3日後に長崎に原子爆弾が投下されてから、すでに80年の歳月が過ぎようとしています。これらの爆弾が引き起こした前例のない規模の人命喪失と資産の壊滅的な破壊は、それ以来、核兵器が再び使用されるのを抑止してきました。しかしながら、核兵器使用の脅威は常に存在しています。
国連憲章は、その冒頭において、国連の主たる目的は「戦争の惨害から将来の世代を救うことである」と述べています。それにもかかわらず、「保護する責任:原則に基づく共同的行動への20年間の取り組み」と題する2025年5月29日付の国連事務総長報告は、紛争の当事者が、国際法や条約義務に明らかに違反し、人命をあからさまに軽視する戦争の方法や手段の使用が増えていることに言及しています。空爆やミサイル攻撃、簡易爆発物といった爆発性兵器の人口密集地での広範囲に及ぶ無差別な使用や、民間のインフラに対する意図的な攻撃は、このような傾向を示す一例です。
ここで是非思い起こしていただきたいのは、2017年に採択され、2021年1月22日から施行されている核兵器禁止条約には、昨年の70カ国からさらに増え、73カ国の締約国が参加しているという事実です。これらの国はいずれも核兵器を保有していません。2025年6月に勃発し、米国が介入してイスラエルを支援したイスラエルとイランの12日間の戦争は、イランが核兵器を保有し、イスラエルの存続を脅かす可能性があるのではないかというイスラエルの懸念が引き金でした。このような恐怖が、全面的な戦争や何百人、いや何千人もの死や苦しみにつながっているのだとしたら、なぜ世界は核兵器を完全に排除しようとしないのでしょうか?
2007年1月の著作の中で(https://www.henryakissinger.com/articles/a-world-free-of-nuclear-weapons/)、ヘンリー・キッシンジャーは、ソビエトとアメリカが核兵器を保有することで互いを牽制するという方針は、冷戦の時代には国際的な安全保障を維持してきたかもしれないものの、冷戦後は時代にそぐわないものになり、他国からの脅威への対応としての核兵器への依存はますます危険であると同時に、その有効性を失いつつあると強調しています。キッシンジャーが最も恐れているのは、国家主体ではないテロリストが核兵器を入手できるようになる可能性が高まっており、核兵器を保有したこれらの非国家テロリストグループが抑止戦略という概念の境界を超え、困難な安全保障上の課題を生じさせているという点です。
私たちSATA Foundationが核兵器は全面的に廃止すべきだという信念を持つ理由がここにあります。私たちの信念の源となっているのは、あらゆる宗教の祈りの場は正当な軍事上の標的ではないにもかかわらず、原爆の爆心から約500メートルの場所にあったために完全に破壊された長崎の浦上天主堂の胸のつぶれるような光景です。この教会にあったマリア像の焼け焦げた頭部は、SATA Foundationのロゴとして、核兵器に反対する私たちのキャンペーンや、人道主義を推進する私たちの取り組み、そして科学や技術が適切に使用され、人々が平和に暮らせる世界と、希少な資源が国籍や人種、宗教、民族性を問わず、人類のよりよい暮らしのために配分されることへの私たちの願いに力を与えてくれています。
2025年8月2日の土曜日に、SATA Foundationは、COVID-19の影響によって中止された2020年を除いて2005年から毎年開催している「平和祈念自転車レース」の第20回大会をフランス・ブルゴーニュ地方のシャイイ・シュル・アルマンソンにおいて開催し、ベルナール・イノー氏とフランチェスコ・モゼール氏の共催のもと、数百人の選手が参加しました。このレースは広島と長崎に投下された原爆の犠牲者に哀悼の意を表し、人類に核兵器の危険を警告するとともに、世界各地で起きている戦争の罪なき犠牲者への支援を表明するために行われています。また、このレースはSATA Foundationの使命を遂行するための資金を調達し、2011年に特に東北地方を襲った津波の被災者に対し、1件の登録につき2ユーロの寄付も行っています。詳しくはウェブサイト(https://www.courirpourlapaix.com/)をご参照下さい。
SATA Foundationへのご支援に、心から感謝いたします。
SATA Foundation
理事長 佐多 保彦
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